急な出来事があるといろいろな手続きをしなければいけません。その一つが相続です。登記簿の名義変更は法的に強制されるものではありませんが重要なことです。聞いたことない言葉ばかりで戸惑いもあると思いますが、一つ一つをクリアにしていきましょう。
目次
登記を変更する事由
土地を売買する
登記を変更するのにはいくつかのケースがあります。その一つが土地を売買したときの登記の名義変更です。土地の売買は基本的には、売る側と買う側とで契約書を交わしお金を支払えば契約成立となります。しかしそれでは、その土地は自分のものだとほかの人には主張できないのです。
そこで必要になってくるのが登記の名義変更です。お金も支払って登記上も自分の名義にしておけば、名実ともに自分のものだと言うことができます。
基本的にローンを組むときなどはお金を貸してくれる銀行が司法書士などに依頼することがほとんどですが、もし自分でするというときのために必要な書類がいくつかあります。登記申請書、登記識別情報、住民票、印鑑証明、固定資産評価証明書が必要になってきますので、あらかじめ準備してから法務局に行くようにしましょう。
建物を贈与する
建物を贈与するというのは、贈与する側が生きている間に自分が持っている不動産を譲る行為のことを言います。名義を変更すること法律では定められていませんが、きちんと名義を変更しておかなければ何か問題が起こったときに、この建物は自分のものだと第三者に対抗することができません。
この手続きに必要な書類は、贈与する側は登記簿識別情報通知と印鑑証明です。受け取る側は住民票、固定資産評価証明書、贈与契約書になります。この手続きには贈与税、不動産取得税、登録料がかかってきますので、前もって税金がどれくらいかかるのかを知っておくといいでしょう。
遺産を相続する
亡くなった方から遺産を相続するときにも名義変更が必要になります。こちらも法律上で変更しなければいけないと定められている訳ではありませんが、親族間でトラブルが多いのがこのケースになります。登記簿で名義を変更しておかなければ、問題があったときに第三者に対抗できません。相続の問題が発生した最初の段階できちんと話し合いの場を持ち、登記を完了させておけば親族間で問題が起こったとしても登記が優先されます。
その他にも相続した不動産を売却したいとき、不動産を担保にして銀行からお金を借りたいときなどに、名義が亡くなった方から自分の名前に変更されていないと、売却することはもちろんお金を借りることもできません。ですので、手続きは早めにおこなうようにしましょう。
一般的な相続に関する登記の変更手続きについて
被相続人と相続人の戸籍謄本を用意する
相続に関して必要になってくる書類ですが、まず亡くなった方の戸籍謄本と遺産を相続する方の戸籍謄本が必要になってきます。亡くなった方のことを被相続人といい、この方が8歳のときから亡くなるまでの間の戸籍謄本が必要になります。戸籍謄本をもとに相続人は誰がいるのかを確認するためです。ですので、転籍や婚姻をしているときは、転籍前や婚姻前の除籍謄本や改正原戸籍が必要になります。
相続する方に関しては、相続人全員の戸籍謄本が必要になります。遺言書による相続の場合を除いて、法律で定められた相続人が相続する権利がありますので、後々トラブルが起こってしまっては大事になってしまいます。まず誰にその権利があるのかをしっかりと確認し、その法定相続人が確定すれば、その方たちは戸籍謄本を用意しましょう。それは自分が遺産を相続するのにふさわしい関係性であることと、生存しているということの証明に必要な書類になります。
相続人で遺産分割協議書を作成する
相続の方法は三通りあります。遺言書による相続、法律で定められた通りに相続する法定相続、法定相続人で話し合い相続の割合を決める遺産分割相続の三つです。この遺産分割協議書は遺産分割相続、つまり話し合いで法律によって定められた相続以外の割合で相続するときに必要になる書類です。
例えば、相続人が3人いて相続する不動産が3つあるとします。法定相続通りでいくと3つの不動産の1つずつを3分の1ずつ所有していると、売りたいときなどに残りの2人の了解を得ないと売ることができません。売りたいのに2人の了承が得られないために売ることができないとなると、トラブルの大きな原因になってしまいます。
そこで法律で定められている通り3分の1ずつ不動産を所有するのではなく、相続できる人たちの話し合いで一人一つずつの不動産を所有することにします。さらにそれをきちんと遺産分割協議書を作成して記録しておくことで、トラブルを極力少なくして相続ができるのです。
この遺産分割協議書を作成するときは、法定相続人の署名と実印、印鑑証明書を添付する必要がありますので合わせて用意するようにしましょう。
固定資産評価証明書を発行する
相続登記するときに登録免許税という税金を支払わなければいけません。相続するのに必要な納税金額を調べるために、固定資産評価証明書というものに基づいて計算されるのです。この書類を取得するために必要な書類は、身分証明書、自分が相続人であるということを証明できる書類、相続が発生していることを証明できる書類になります。
注意点として、この固定資産評価証明書は年度によって更新されますので、最新の物であるかを確認し提出するようにしましょう。
登記申請証明書を作成する
登記申請書と必要な書類をそろえて登記申請証明書一式として法務局に提出し、名義変更などの手続きをおこないます。まず登記申請書は、不動産を相続する人が自分の名義に変更するために法務局でおこなう申請になります。
これは自分で作成するのですが、記入するのに必要な項目がいくつかあります。登記の目的、原因、相続人の名前、課税価格、登録免許税額、申請日などが必要事項です。作成の仕方や様式がわからないという方のために、法務局が様式の記載例をホームページにアップしていますので下記のURLを参考にしてみてください。記入漏れなどがないように数回チェックした上で申請することをおすすめします。
そして作成した申請書と、印紙を貼るための白紙の紙を一枚用意し、一緒に準備するようにしましょう。
登記事項証明書が発行される
登記申請書を提出し、登記の名義変更が完了すれば登記識別情報通知が法務局から発行されます。これは12桁の英数字でつくられており、これは次に登記をする際や売却する際に必要になりますのでしっかり保管するようにしましょう。
そして、無事に手続きが完了したら最後に登記事項証明書を取得しましょう。それは名義が被相続人から自分の名義にきちんと変更されているかどうかを確認するためです。確認できれば相続登記は完了となります。名義を変更しておくことで自分のものであるということが証明され、さまざまなトラブルの回避につながりますので、しっかり確認し相続登記をおこなうようにしましょう。
登記変更手続きをして相続しよう
手続きを自分でするとなると、それなりの時間と労力が必要になります。効率よく手続きをおこなうためには、まずどれから最優先にしなければいけないのか順番を決めながら一つ一つ確実にこなしていきましょう。そして、必要な書類をきちんと準備すること、自分で作成するものに関しては記入漏れ、誤字脱字がないか、必要項目は記入しているかを確認しましょう。
平日に法務局での手続きが必要となりますので、仕事をしていると休暇が必要になります。間違いや不備があると、その度に休暇を取って法務局に出向かなければいけませんので、不備がないかしっかりと確認するようにしましょう。かなりの時間と労力がかかりますので、自分にできないかもしれないと感じたときは、専門家である司法書士や行政書士を頼るのもいいかもしれません。
また相続で一番問題となるのが、遺産相続による親族間でのトラブルです。このトラブルを回避するためにもしっかりと話し合いの場を持ち、記録と変更をしておくことが大切になってきます。大変な作業ではありますが後回しにせずきちんと解決しておきましょう。