マイホームを手に入れたら行う登記手続き。実は高いお金を払って業者に依頼しなくても、自分で申請できるとご存知でしたか?分かってしまえば初心者でも問題なく手続きできるので、賢く節約できますよ。一度、詳しく登記のしくみについて勉強してみましょう。
目次
登記を自分で行う
法務局で相談する
登記申請を自分で行う場合は、まず事前に最寄りの法務局で相談しましょう。そのときに、必要書類をできる限り揃えておくと話がスムーズに進みます。
☑1.登記申請書
インターネットで検索するとフォーマットがありますので、ダウンロードします。「日付・法務局名・申請人の住所と名前・代理人の住所と名前(連絡先)・建物の表示欄」を入力し、A4サイズで印刷しましょう。
☑2.建物図面・各階平面図
建物図面・各階平面図をB4サイズで作成します。手書きの場合には、0.2mm以下の線で書くという決まりがあるため、パソコンのある方はパワーポイントなどのソフトを使うと美しく作成できるでしょう。
☑3.所有権証明書
・建築確認書のコピー(原本証明付き)、および原本
通常は施工業者(設計会社)が持っているので、事情を話して建築確認のための書類一式を受け取ります。
その中の「検査済証(確認済証)・確認申請書」を表紙から第5面までのコピーをとりましょう。原本は後に返却となります。
・施工業者の引渡証明書(印鑑証明書、登記事項証明書付き)
こちらも施工業者から「引渡証明書・会社の印鑑証明書・会社の登記事項証明書」の3枚を受け取りましょう。
☑4.住所証明書
申請者の住民票を指します。所有者が複数の場合は全員分を揃えましょう。
☑5.案内地図
現地の確認に訪れる場合に必要なものですので、見やすい地図ならどんな形式でも構いません。建物部分を赤色で塗っておきます。
ただし、各種の事情によって必要な書類が異なる場合もありますので注意しましょう。
登記にかかる時間
どの種類の登記を行うかにもよりますので、まずは必要になる部分を確認します。例えば1つ目の「建物滅失登記」ですが、更地から新築を建てる場合は不要です。しかし、古家付きの土地を購入した場合、まずこちらを壊す=滅失したという申請をしなければならないため必要となります。それぞれにかかる目安の時間を参考にして、必要部分の時間を合計し自分の場合はどの程度かかるのか把握しておきましょう。
☑建物滅失登記 2時間
☑建物表題登記 4時間
☑所有権保存登記 2時間
☑住所変更登記 1.5時間
☑抵当権設定登記 2時間
☑抵当権抹消登記 2時間
登記にかかる費用
通常、初期費用として組み込まれている登記費用ですが、内訳の多くを占めるのが司法書士・土地家屋調査士への依頼費です。一般的におよそ10万円前後はかかるようですが、契約する業者によって金額が上乗せされる場合も。
登記の種類にもよりますが、新築一戸建ての登記手続きを自分で行うと、約20万円ほど節約が可能といわれています。また、減税などの面から見てもメリットがあるため、手間と時間をかけられる方はチャレンジしてみましょう。
表示登記は1ヶ月以内に
表示登記は完成後、1ヶ月以内に行わないと10万円以下の過料になるという法律があります。せっかく自分で登記をして節約ができても、過料の支払いをするのはもったいないですよね。建築が終わったら一番最初にしなければいけない手続きだと頭に入れておきましょう。
自分で登記を行う場合はこの期間に注意して行いましょう。また、過ぎてしまった、間に合いそうにない場合は法務局へ相談します。もちろん断定はできませんが、場合によって支払わずに済んだケースもありますので、なるべく早めの対処を心がけましょう。
新築住宅を自分で登記する
住宅ローンを利用しているかどうか
新築住宅を建てるときはほとんどの方が住宅ローンを利用されていますが、登記が完了しないと融資を受けられませんので注意が必要です。一般的に融資を受けられるのは、建物を担保にできる抵当権が設定された後からとなります。
そのためには、「建物表題登記・表示登記」が終わっていることが条件の場合がほどんどのため、こちらの手続きは早めに済ませておくと安心です。また、金融機関によっては抵当権設定と同時に行われる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
また、まれに抵当権関係は終了しないと工事代金などの受け渡しができず、素人が行うと時間がかかるリスクがあるためホームメーカーなどから断られるケースもあるようです。少しでもスピーディに進むように提携の専門業者を使うように勧められても自分で行いたい場合はしっかりと意思を伝えましょう。
所有者が本人かどうか
法務局の営業日は平日の午前8時30分〜午後17時15分ですので、日中出勤の方は出向くのが難しいかもしれません。基本的には建物の所有者となる方が申請を行いますが、本人以外が代理人になり法務局に行く場合には、委任状が必要となります。インターネット上のフォーマット使用で問題ありませんので、事前に用意しておくとよいでしょう。
また、新築を建てるが土地の所有権は別の方が持っているなど、登記上の名義を変更しないケースは所有権にはなりえません。そのような時は、事前に敷地の権利に関しても把握しておくことが大切です。
身内の持っている土地を借りて家を建てるなど、土地の貸主が借地料を取らない場合は「使用貸借」となります。逆に、土地のみは借地にして料金を支払うのであれば「借地権」になります。当然、借地権の方が相続時には評価額が下がりますので、相続を考えている場合は税務上・法律上ともに非常に重要なポイントですので、よく考えましょう。税理士や弁護士などに事前相談するとより安心です。
中古住宅を自分で登記する
抵当権抹消登記について
抵当権とは主に住宅ローンなどに使用され、貸付者がお金を貸し出す場合に、不動産を担保として確保できる権利です。中古住宅の場合は基本的に前の所有者がローンを返済を済ませているため、この登記は必要なく自分で取り消さなければなりません。返済完了のタイミングで、債権者から抵当権抹消のための書類が交付されますので、これを添付して法務局に申請するという手続きになります。
所有権移転登記について
売買・相続・贈与などによって、土地や建物など不動産の所有権が移転した際に行う登記です。一般的には、不動産から購入した場合・親族から譲り受けたケースで行うことが多いです。実際の手続きについては、売買の場合は「売主と買主連名の登記申請書・添付書類」の提出、相続の場合は「戸籍謄本・遺産分割協議書など」が必要となります。パターンによって必要な書類が変わるので確認しておきましょう。
抵当権設定登記について
抵当権設定登記とは、住宅購入にあたってお金を借り入れる場合に、万が一に備え土地建物を担保に借り入れるため抵当権の設定を行い、これを記載した登記のことを指します。現金があれば不要ですが、ローンを考えている方は「抵当権設定契約書・権利証(登記済証)・印鑑証明書」などが必要となります。他の手続きの書類と一緒に用意できるものがあれば、前もって準備しておくとスムーズに手続きができます。
また、設定の際に費用がかかりますのでこちらも把握しておきましょう。メインで必要となるのは登録免許税で、法務局に抵当権設定登記をするときに支払わなければならない税金です。金額的には借入額の0.4%ですので、例えば住宅ローンを3,000万円を借りた場合は12万円となります。
しかし、新築住宅の場合に以下の条件にあてはまれば特例として0.1%として適用されます。
1.自己の住宅として使用するために抵当権の目的となる建物を新築したこと。
2.抵当権の目的となる建物を新築するための、貸金の貸付等に関わる設定登記であること。
3.登記簿上の床面積が50㎡以上(上限なし)である。
4.新築後1年以内に登記すること。
その他には、契約書に貼り付ける収入印紙・司法書士への手数料などがかかります。
自分で登記して節約しよう
専門業者に依頼するようなことを自分にできるか不安…と感じる方も多いですが、法務局でも無料の相談窓口などがあり、分からないことは説明も受けられます。最近はインターネットなども普及しており手軽に調べられますので、しっかり仕組みを理解しておけば心配いりません。
また、自分自身では頻繁に行うものではないですが、1度経験しておくと家族や知り合いなどが手続きをする場合も教えてあげられます。自分で登記にチャレンジして、賢く節約しましょう。