法人税についての知識は、今後初めて納税するときに戸惑うことがないように知っておいたほうがいいです。法人税の税金の種類とそれぞれの特徴、均等割の仕組みやメリットなど、法人税の知識についての知識を理解して納税するときのために備えておきましょう。
目次
法人税の税金の種類について
会社の所得に課せられる税金
法人税にはいくつか種類があります。そのうちの1つである会社の所得に課せられる税金が「法人税(法人所得税)及び復興特別法人税」です。法人税及び復興特別法人税は国税ということが特徴。会社の収益から損金を引いた所得に課せられる税金であり、利益に課税される税金ではありません。所得に法人税率を乗じて法人税額が計算されるので、所得が赤字であれば0円ということになります。
しかし場合によっては赤字でも支払いが生じることがある
会計上の利益と、法人税を算出するベースとなっている課税所得は同額ではありません。会計上の利益が赤字であっても、法人税の課税所得は黒字になるケースがあります。その場合は、課税所得をベースとして算出される法人税は支払う必要があるのです。
会社が事業を営んでいる事で課税される税金
いくつかある法人税の種類の1つに、会社が事業を営んでいる事で課税される税金である「法人事業税」があります。法人税及び復興特別法人税は国税ですが、法人事業税は地方税なので都道府県に納める税金です。
法人事業税は、所得に法人事業税率を乗じて算出されます。そのため、赤字の場合は0円です。この点は法人税及び復興特別法人税と共通していますが、全く異なる側面もあります。それは、法人事業税は翌年の損金に算入できるということです。税金ではありますが、費用としての損金算入が認められています。
自治体のサービスをしている会社に課税される税金
法人税の税金の種類のうちの1つに、自治体のサービスをしている会社に課税される税金である「法人住民税」があります。法人住民税は法人事業税と同じく地方税なので、法人の事業所がある地方自治体に課税されて納付するのが義務です。また、法人住民税は「均等割」「法人割」「利子割」と大きく3つに分類できます。
☑1.均等割
→所得の有無(金額)に関係なく必ず課税される制度です。都道府県によって金額は変わりますが、利益がなくても年間で約7万円ほどかかります。
☑2.法人割
→法人税額の一定の割合が課税される制度です。法人税額の20%くらいかかります。
☑3.利子割
→金融機関等の利子に課税される制度です。金融機関から利子を受け取る際に、20%くらい源泉徴収されます。(そのうち5%は都道府県民税です。)
法人税の均等割について
資本の金額が1億円を超えるかどうかで変わる
資本金の金額が1億円を超えるか、それとも1億円以下かで法人税の均等割の納税額が変わります。資本金が1億円以下の場合はさまざまな節税メリットを受けることが可能です。ちなみに、資本金が1,000万円以下かどうかでも法人税の均等割の納税額に変化があります。
資本金1億円未満の場合の均等割納税額の節税メリット
☑1.法人税の計算で軽減税率が利用できる。(資本金が1億円超だと法人税率が25.5%、1億円以下の中小企業は年間800万円の所得に対して軽減税率が19%)
☑2.交通費が800万円までなら全額損金として計上できる。(資本金が1億円超だと1部例外を除き交通費は損金不算入)
☑3.既定の条件が満たされていれば、30万円以下の少額減価償却資産が年間で300万円まで損金として計上できる。(資本金が1億円超だと、使用期間が1年未満あるいは10万円未満のもの以外は損金不算入)
☑4.特定同族会社の留保金課税が免除される。(資本金が1億円超だと、親族が株式の過半数を持っている特定同族会社は配当金を抑えて節税することが多く、追加で課税がかかる)
☑5.欠損金の繰越還付を受けることができる。(資本金が1億円超だと欠損金繰り越し還付制度の適用外)
☑6.法人事業税の外型標準課税が免除される。(資本金が1億円超だと、従業員数や床面積などの規模に応じて課税される)
☑7.法人住民税の均等割税金が安くなる。(資本金が1億円超になると高くなる)
資本金1,000万円以下の場合の均等割納税額の節税メリット
資本金の額が1,000万円を境に、法人住民税の均等割税金が変わります。例えば東京23区で従業員数が50人以下の場合、資本金1,000万円以下の場合は法人住民税が7万円で、資本金が1,000万円を超える場合は18万円です。また、資本金が1,000万円以下の場合、(一部例外はありますが)開設後の2事業目までの消費税が免除されるという節税メリットもあります。
出資の金額と資本積立額で決まる
平成27年の税制改正により、法人住民税均等割の税率区分の基準が出資の金額と資本積立額で決まることになりました。それ以前は資本金等の額のみでしたが、税制改正により資本準備金も基準に加えられたのです。
改正前の法人住民税の税率区分の基準は「資本金等の額」となっており、つまり出資の金額をもとに判定されていました。税制改正後の現在の法人住民税の税率区分の基準は「資本金等の額+資本準備金」となっており、出資の金額と資本積立額を加えた金額をもとに判定されます。
会社で労働している従業員数で決まる
均等割は会社で労働している従業員数で決まります。従業員数とは、役員、正社員、アルバイトなど、職種問わず会社から給料や賞与など給与の支払いを受ける者のことです。均等割の従業員数は、寮等の従業員数も含みます。
従業員数の算定方法は、「算定期間の末日を含めた直前1ヶ月のアルバイト等の総勤務時間数÷170」です。この方法に準じて算定期間の各月の末日においてアルバイト等の数を算出した場合、最大になる月の数値が最小になる月の数値の2倍を超えたら、「(算定期間の末日を含めた直前1月のアルバイト等の総勤務時間数÷170)で算定したアルバイト等の合計数÷その算定期間の月数」という方法で算定することができます。(算定した結果、1人に満たない端数を生じたら1人とする。)
法人税の計算方法
法人税は益金から損金を引いた額に課税される
法人税は会社の儲けである会計上の利益である「収益−費用」に課税されるのではなく、税法上の所得金額に課税されます。所得金額の計算は「益金−損金」です。
益金とは
益金と収益はほぼ同じではありますが、完全には一致しません。例えば、会社が受ける配当金は会計上では収益になりますが、税務上では益金に該当しません。
損金とは
費用と損金もほぼ同じではありますが、完全には一致しません。例えば、資産の評価損は会計上では費用になりますが、税務上では原則として損金に該当しません。
法人住民税は法人税割と均等割から構成されている
法人住民税は、「法人税割(所得から算出された法人税額に住民税率を乗じて算出)」と「均等割」から構成されています。そのため、法人住民税の計算式は「法人税割+均等割=法人住民税」となるのです。東京23区のみに事業所がある場合は例外として都民税と一括で納付。それ以外は都道府県民税と市町村民税と自治体によって分かれており、これらを総称して法人住民税と呼んでいます。
法人事業税は所得に法人事業率をかけて算出されている
法人事業税の計算方法は、「所得×法人事業税率=法人事業税」です。所得に対して税率を掛けるので、所得がゼロの赤字の場合は法人事業税もゼロになります。資本金が1億円以上の会社の場合は、外型標準課税もあわせて課税となるので覚えておきましょう。これは事業所の床面積、従業員数、資本金等及び付加価値など、外観から客観的に見て判断できる機銃を課税のベースにして税額を算出する課税方式です。
法人税の知識は覚えていた方が良い
法人税には種類があり、それぞれの税金に異なる特徴があります。初めての納税の際などに戸惑うことがないように、法人税の知識は覚えておいた方がいいでしょう。必ず支払う必要がある法人税の均等割についても覚えておいた方がいいです。均等割の仕組みやメリットなどを理解し、今後納税するときのために備えておきましょう。