「失業手当の受給期間」を延長して賢く今後の転職活動に備えよう

会社を退職すると申請できる失業手当ですが、実は色々なケースで受給期間の延長が可能です。子育て・介護・病気などすぐに働ける状況ではないが、落ち着いたら転職活動を行いたいと考えている方は、自分の状況が延長に該当するのか、チェックしてみましょう。

目次

失業手当の延長ができる人の条件

すぐに働けない理由がある人

☑ 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
☑ 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
☑ 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
☑ 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼上記のように退職後、すぐに働けない理由がある場合は延長申請をすることで、通常より手厚い給付日数が付与されます。一般的には会社都合によって離職することにより当てはまるケースが広く知られていますが、実はその他も病気・介護・妊娠出産など、一定の条件を満たす場合は「特定受給資格者」として、延長が認められています。

60〜65歳以下で定年退職した人

☑ 60歳以上で定年退職した場合
☑ 定年後、同じ会社での勤務を延長していた人が退職した場合

定年退職は会社都合による退職になりますので、所定の手続きを行えば、通常7日間の待機期間終了後に基本手当が支給となります。しかし、長い期間勤めていたので働く意思はあるが少し休暇をとりたいなどと感じる方は、失業保険(雇用保険)の受給延長が可能です。そのような場合は、退職日の翌日から2ヶ月以内に、ハローワークに申請しましょう。

公共職業訓練を受ける人

☑ 練開始日に支給残日数が1日以上残されていること
☑ 所定給付日数が180日以上では、その3分の2の日数分の支給を受け終わるまでに訓練を開始すること
☑ 手に技術をつけ、それを有利に活かし就職したいと考えていること

公共職業訓練は上記のような条件を満たし、ハローワークから雇用保険の給付状況や訓練スクールの必要性が認められた方が受けることができます。受講中は訓練が終了する日まで基本手当・受講手当・通所手当などが支給されるほか、失業手当の延長にも当てはまります。

失業手当の延長申請方法

延長手続きの期限

雇用保険では、失業手当(基本手当)の受給期間は原則として、退職日の翌日から1年以内と定められています。しかし、該当する人が30日以上働くことができない理由がある場合は、その日数分だけ受給期間が延長することが可能です。延長期間は最長3年、受給期間の1年をプラスすると合計4年までとなります。ただし、「傷病手当を受け取っている場合・退職時の年令が65才以上の場合」は、延長は認められないため注意が必要です。手続きが可能な期間は「労働不能が30日以上となった翌日から起算して1ヶ月以内」となっているので、早めに申請を行いましょう。

手続きに必要な書類

☑ 離職票−1

離職票-1にはあらかじめ様々な内容が記載されていますが、下記の3つは失業保険の受給金額に大きく影響する可能性がありますので、特に注意して間違いがないか確認をしておきましょう。

☑ 資格取得年月日:入社日ではなく、雇用保険に加入した日となります。
☑ 喪失区分:「自己都合は2、会社都合は3、離職以外の理由は1」と記載されています。
☑ 離職年月日:まれに会社側が賃金締切日を記載しているケースがあります。

☑ 離職票ー2

離職票ー2で最も重要なのは、用紙の右側に記載されている離職理由「自己都合・会社都合・契約期間満了退職」などに間違いがないかです。記載されている内容をもとにハローワークが記入する箇所があり、こちらが違っていると給付制限期間の有無・所定給付日数に相違が出るので注意しましょう。

☑ 延長理由を確認できる書類

傷病手当金の申請書または傷病手当金の診断書・通知書の写しなど、延長理由の内容が確認できる書類です。

☑ 印鑑

記入間違いなどがあるときに、訂正印として使用できます。二度手間にならないためにも忘れずに持参しましょう。

手続きは郵送や代理人でも手続き可能

営業時間内に都合がつかいないなどハローワークに出向けない事情がある方は、書類を郵送して行う手続きも可能です。その際には、上記に記した必要書類を同封し、住まいの地域を管轄している職業安定所へ送ります。郵送先を間違ってしまうと書類を紛失したり、返送されたりする可能性がありますので宛先はよく確認しましょう。しかし、失業保険受給期間延長申請書は、ハローワークの窓口に直接受け取りに行かなければなりません。

また、代理人による申請を行う場合は委任状が必要となります。委任状の形式に規定はありませんので、WEBでダウンロードしたものなどの使用も可能ですが、サイズはA4で印刷して下さい。

失業手当の延長を解除して受給する方法

延長解除の手続方法

受給期間を延長をしたが、延長期間中に働ける状態になり失業保険を受け取りたいときは、延長措置解除の手続きが必要になります。必要なものを用意して住所地のハローワークに出向き、延長解除届に記入をして手続きを行いましょう。地域や状況によって手順・持ち物などが若干違ってくるため、事前に電話などで確認しておくと確実です。

解除に必要な書類

☑ 印鑑
☑ 離職票1・2
☑ 雇用保険被保険者証
☑ 受給延長通知書
☑ 本人確認書類
☑ 写真2枚
☑ 銀行口座の確認ができるもの(通帳など)
☑ 母子手帳・パスポート・辞令など

延長理由によっては、上記以外にも追加で必要なものがある場合もあるため、事前に1度ハローワークへ確認しておくとよいでしょう。

また、妊娠・出産が理由で受給期間延長したケースでは「特定理由退職者」に該当し、7日間の「待期期間」があります。しかし、3ヶ月間の「給付制限」はありませんので、延長解除をした場合はすぐに失業保険を受け取ることができます。

延長解除で扶養に入れない場合がある

失業保険を受給延長している際は、実際に受給されるまでの間は無収入ということになるためご主人の扶養に入ることができます。また、妊娠中や出産後、失業保険未給付の期間は被扶養者として認定されているため、失業保険受給中も失業保険の基本手当の日額が3,612円未満であれば引き続き被扶養者として失業保険の受給が可能です。

解除した場合、所得税扶養の対象となるのは総収入が103万円以下であることなどが条件となりますが、給付金は非課税対象であるため、この収入の中には含まれておらず所得に計上する必要はありません。つまり、失業保険が年間103万円以上の支給となる場合も、所得税扶養の対象とは関係しないということです。

しかし、社会保険扶養の場合は失業保険の給付金も年収に含まれるので、金額によっては扶養対象外となることもあります。加えて、基本手当が3,612円以上であれば被扶養者として認められないため国民健康保険・国民年金への加入手続きが必要です。この場合は受給完了後、無収入または収入が年間130万円未満であれば再び被扶養者として認定されます。

延長解除は待機児童でも可能

例えば、日中は祖父母の協力があるなど、子どもを預けなくとも子育てが可能の場合もあります。そのため保育所の入所は必須ではなく、一定の就職活動をこなせば待機児童でも延長解除は認められます。

また、どうしても預け先が見つからないときは、託児所のある企業を探すというのも1つの方法です。また、給付期間は最大3年間延長が可能ですので、どうしても心配な場合は保育所が決まってから受給するパターンがよいでしょう。

失業手当の延長で転職活動に備えておこう

いかがでしたか?退職後すぐに働けない方も、実は多くの理由が延長申請を認められています。自己都合で退職したから手当がもらえない…と思い込んでいた方も、自分の状況や退職理由をもう一度見直してみましょう.

延長ができる場合は、申請を先延ばしにして期間が過ぎてしまうと、申請が通らなかったり受給ができない可能性がありますので、計画を立てて手続きを行うとよいでしょう。

日程もし分からないことがあればハローワークにも相談窓口がありますので、特殊なケースの場合は1度出向いてみるのが一番確実です。休職の前に延長期間を活用できる方は申請しておき、次回の転職活動時に余裕が持てるよう備えましょう。

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