年が明けるとすぐにやってくる確定申告。領収書など、日頃から整理している人もいれば、まとめて一気にするという人もいるでしょう。毎年の作業ですが、なかなか手間のかかるものです。確定申告とは誰かに頼めるものなのでしょうか。また、提出期間内に税務署に行けない場合の代理について、いくつかご紹介致します。
目次
確定申告で代理人をたてる場合に好ましい人
本人が行なうべきもの
確定申告とは、1月から12月までの1年間の所得額と所得にかかる税金を、納税者自ら、税務署に報告する手続きのことです。基本的に会社員など給与所得者の場合、ほとんどが、勤務先で年末調整を行ない、過不足分の調整をしてくれます。ただし、年収が2000万円を超えたり、給与が2カ所以上から振り込まれている人、医療費や住宅の控除を受けたい方は、手続きが必要です。
また、個人事業主や、途中で仕事をやめ、年末調整が行われなかった場合も、自分での手続きが必要です。確定申告書の書類の作成は、原則として本人が行うべきものです。ちょっとした手伝いでも、無資格の人がすることは違法となります。
税理士に依頼する
確定申告書の作成は、原則として本人が行うべきものなのですが、何かしらの事情がある人や、自分でするのは大変で時間がないと言う人は、税理士に依頼することができます。
税理士とは、「税務の代理」「税務書類の作成」「税務の相談」など税務に関するプロの仕事で、税理士だけに認められた独占業務です。税理士には、書類作成の全てをお任せすることができます。顧問契約を結び、毎月の帳簿記載を依頼する人もいれば、確定申告のみと言う人もいます。
一年分の領収書の仕分けや、どこまでが経費にあたるのかなど、頭を悩ませなくても、正確に申告書の作成を行ってくれます。しかし、自分でする手間が省ける分、費用が発生します。金額は、依頼する内容によって変わってきます。
配偶者が無難
確定申告の手続きは、翌年の2月16日から3月15日まで行われます。一部日曜日に受付をしている所もありますが、基本的には平日のみです。そうすると、働いている人本人が、税務署に足を運ぶことが難しい場合があります。
とは言え、税理士に依頼すると、費用が発生しますし、そのために打ち合わせや電話連絡などの手間もかかります。そこで、配偶者が代理で提出するケースが多いようです。では、配偶者はどのくらい代理として動けるのでしょうか。
前述した通り、申告書を作成できるのは、本人か税理士のみです。勝手な作成は税理士法違反となります。配偶者ができることは、提出と代筆です。配偶者が代理で提出しに行った場合は、税務署側からも、その申告書が本人の意思で作成されたと言う印象が強く、スムーズに受理されやすいそうです。
配偶者がいなければ親族に
確定申告の代理に、特に決まった範囲はありません。配偶者がいない場合は、親や兄弟、子どもなど親族にお願いしても大丈夫です。特に証明書は必要ではありませんが、身分証やなぜ代理で来ることになったか、などの理由を明確にしておいた方が、よりスムーズに受理されるようです。
その時、代理の人に気をつけてもらうことは、あくまでも代筆、提出のみでお願いしているので「代わりに確定申告をしにきた」とは言わないように、伝えておきましょう。そのあたりの認識のズレから、トラブルになることも少なくないので、気をつけましょう。
確定申告に代理人として好ましくない人
友人知人には頼まない
「自分でするのは面倒、でも税理士に頼むほどでも…と言うことで、税務に詳しい友人に頼む」と言うのはやめましょう。作成はもちろん違法ですが、提出や代筆だけとは言え、自分の収入や事業の金銭事情を全て知られてしまうということになります。
また、マイナンバーの記載もあるので、どんなに親しい友人でも、気軽に頼めるような内容ではありません。さらに、もし申告漏れなどが発生した場合、多少なりとも代理を行なった友人にも、迷惑をかける可能性があります。友人や知人には頼まないようにしましょう。
親族であっても遠縁の人
何らかの事情があって、確定申告の代理を依頼しなければならない時、親族とは言え遠縁の人に頼むということも、友人知人の場合と同様、あまりおすすめはできません。
まず、税務署側も、配偶者や近しい親族であれば、その申告書が本人によって作成され、本人の意思で代理を頼んだと認識しやすいですが、あまりに遠縁だと、なぜわざわざこの人を代理人にしたのか?何か隠しているのか?と疑いの目を向けられる可能性もあります。
また、何かトラブルが起きた時、配偶者や近しい親族に比べ、対処に手間がかかります。
税理士以外の法人にも頼まない方が良い
法人とは「法律が権利の主体として認めた団体や目的財産」のことを言います。一定の目的の下に、法的活動を営むことができると言うことです。法人にもさまざまな団体があり、代行業務を行う会社もあります。帳簿への記帳代行を行なっているところもあります。
しかし、そこに税理士がいない場合は、帳簿書類の記帳や整理はしてもらえますが、確定申告書の作成や税務についての相談などは、違法行為となりますので、依頼することはできません。申告書の作成は自分で行うか、税理士に頼みます。会社によっては、提携している税理士や税理士法人を紹介してくれるところはあるそうです。
確定申告に代理で行く時の心得
委任状があるとより良い
確定申告書類の提出および代筆をするにあたって、代理人としての条件や証明書などは特にありません。本人の委任状の提出も必須ではありません。代理人が配偶者や親族である場合は、税務署側もそれほど不審には思わないでしょう。
しかし、友人や知人、親族であっても遠縁にあたる人の場合は、証明書が必要になるケースもあるようです。「所得税申告、申請等事務代理人届出書」と言われるもので、国税局のホームページからも、フォーマットをダウンロードができます。
いずれにしても、委任状を用意しておけば、税務署で尋ねられたときや、委任状の有無を聞かれた時など、スムーズに対応できます。
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代理が必要な理由を伝える
本来ならば、確定申告は本人が行くことが、1番スムーズで間違いないのですが、仕事が忙しかったり、病気や怪我の為、期間内に会場まで行けない場合も。代理で提出をしてもらうとき、税務署から、なぜ本人が来れないのかと尋ねられる場合があります。
配偶者や近しい親族であれば、あえて深く理由を聞かれることも少ないかもしれませんが、遠縁や友人となると、なぜ代理人になったのかなど、詳しく聞かれる可能性も。何を聞かれても正確に答えられるように準備をしておきましょう。
あくまでも提出の為の代理
確定申告書の作成は、本人か税理士の仕事です。税務に詳しくても、無資格の人が手伝ったり、作成したりすることは、税理士法に違反していることになり、逮捕されることもあります。
そこで、代理人に依頼する際に気をつけなければならないことは、あくまでも提出、代筆のみのお願いだと言うことを、伝えることです。曖昧なニュアンスで頼み、税務署で代理人が「代わりに確定申告しにきました」と言うようなことを言ってしまうと、違法行為とみなされ、申告書が受理されない可能性があります。
せっかく作成した申告書が無駄にならないように、事前に打ち合わせをして認識のズレがないように確認しておきましょう。
e-taxを利用する方法もある
e-Taxとは、国税に関する国営のオンラインシステムのことで、正式名称「国税電子申告・納税システム」と言います。
これを使えば、税務署に行かなくてもインターネットから確定申告ができます。しかし、利用するにあたっては、すぐに始められるものではなく、準備や手続きが必要となります。
☑インターネットの環境を整える。
☑電子証明書の取得や登録(web上で操作可)
☑ICカードリーダライタの購入(家電販売店などで購入可)
☑電子申告・納税等開始届書の提出(web上で操作可)
☑e-Taxソフトのダウンロード
まずはインターネットでe-Taxが使えるように環境を整えます。推奨されているosはwindows7以上、ブラウザはInternetExplorer11となっています。
電子証明書は、免許証のような本人確認書の役割があり、住基カードまたは個人番号カード(マイナンバーカード)に搭載」されています。期限が切れている場合は、更新が必要です。ICカードリーダライタとは、それらのカードを読み取る機械のことです。
電子申告・納税等開始届書の提出を行うと、利用者識別番号が通知されます。これは、e-Taxにログインする場合に必要となるものです。これらを揃えれば、あとはe-Taxソフトをダウンロードして始めることができます。
e-Taxを使って申告書の作成を行い、印刷して郵送する方法もあります。この場合は、電子証明書やカードリーダライタの購入は必要ありません。
確定申告の代理は充分注意して
確定申告に関しての「代理」には、意外と知られていない決まりがあります。知らず知らずのうちに、作成の手伝いをしてしまっていた方もいるのではないでしょうか。
代理人が家族である場合は、ついつい気軽に頼んでしまうものです。しかし、言葉一つとっても、違法行為と間違えられることがあるので注意が必要です。良かれと思って引き受けた代理で、また安易な気持ちで代理を頼むと、思ってもいないトラブルが起こるかもしれません。依頼する側もされる側も、今一度、注意と確認が必要です。